研究課題/領域番号 |
05152102
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部・第1病理学講座, 助教授 (50158937)
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研究分担者 |
岩木 宏之 札幌医科大学, 第1病理学講座, 助手 (60203353)
菊地 浩吉 札幌医科大学, 第1病理学講座, 教授 (00045345)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | heat shock protein / 癌化 / T細胞 / 癌拒絶 / 抗原提示 |
研究概要 |
我々は癌免疫の成立には細胞癌化に伴って発現(増量)する抗原が重要であると考え、ラットWFB非形質転換細胞の表面に陰性、かつWFBのH-ras癌遺伝子形質転換株(W31)に陽性の抗原を単クローン抗原067でとらえた。種々の解析によりこの抗体が実は70kDa heat shock cognate pro-tein(hsc)を認識していることが判明した。宿主のキラー細胞との反応をみると、CD4^-CD8^-、T細胞レセプターalphabeta^-のキラーT細胞(DNT)とW31細胞表面に発現したhsc70分子が反応していることが示唆された。つまりhsc70はtransformation-associated antigenであり、しかも腫瘍拒絶抗原として宿主の特定のキラーT細胞(gammadelta型T細胞と推測される)と反応することが示された。この反応はさらにER-Golgiでの蛋白分子の会合阻害剤であるbrefeldin Aにより完全に抑制された。このことは、hsc70が細胞内の何らかのペプチドや蛋白との複合体の型でDNTに提示されていることを示唆した。そこで、W31細胞によりトリフロロ酢酸抽出によりペプチドを得、これを1%FCSで培養したW31(これはhsc70は細胞表面陽性であるがDNTにより障害されない)にパルスしたところDNTは1%FCSで培養したW31細胞に明かな細胞障害性を示した。即ち、hsc70がこれらペプチドと複合体を形成することによりDNTに障害されたものと思われた。つい最近、hsc70とMHC class lとの高次構造が酷似していることが報告されたが、我々の研究結果はhscの抗原提示分子としての可能性を直接支持する重要な実験事実と思われた。
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