研究課題/領域番号 |
05152105
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
宮崎 香 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教授 (70112068)
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研究分担者 |
安光 英太郎 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10182346)
梅田 誠 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (70045996)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 細胞分散因子 / 細胞運動因子 / 細胞接着因子 / 癌 / 転移 / 浸潤 / 細胞外マトリックス / インテグリン |
研究概要 |
癌細胞の原発巣からの離脱や脈管系への浸潤の過程で、癌細胞の運動性を促進する因子や、周囲の正常細胞どうしの細胞間結合を緩める因子が関与すると考えられる。最近、私達はヒト悪性胃癌細胞株STKM-1がinvitroでラット上皮性肝細胞株BRLの細胞間接着を阻害し、単一細胞にまで分散させる因子TSF(ラドシンと改名)を分泌することを見出した。本研究ではこのラドシンを精製し、その構造と生理活性を調べた。 ラドシンは分子量15-18万の3個のサブユニットからなる。分子量14万のサブユニットは既に遺伝子がクローニングされているラミニンB2t鎖と同一と考えられたが、他の2本のサブユニットは既知の蛋白質と異なった。すなわち、ラドシンはラミニン様の構造をもつ新規蛋白質であると考えられる。 BRL細胞と血管内皮細胞に対するラドシンの生理活性をさらに調べた結果、ラドシンは既知の細胞接着因子であるフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンなどと比べて1/4-1/20の濃度で細胞を接着させ、しかも細胞の運動性をより低濃度でより顕著に促進することが明らかになった。Boyden chamberを用いた実験系で、ラドシンは方向性をもった細胞移動(chemotaxis)とランダムな運動性(chemokinesis)の両方を促進した。また、ラドシンに対する細胞表面受容体としてインテグリンalpha3beta1が同定された。このようなラドシンの性質は、本物質が細胞間相互作用や細胞移動の調節機構に関与することによって癌細胞の浸潤・転移を促進す可能性を強く示唆する。
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