研究課題/領域番号 |
05152111
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青笹 克之 大阪大学, 医学部, 教授 (30115985)
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研究分担者 |
大澤 政彦 大阪大学, 医学部, 助手 (80213685)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | B細胞リンパ腫 / 胸膜リンパ腫 / 慢性膿胸 / 人工気胸術 / 放射線 / EBウイルス |
研究概要 |
20年以上の慢性膿胸羅患後に発生する胸膜リンパ種はB細胞リンパ種である。平成5年度は本リンパ腫について主に検討した。 (1)慢性膿胸患者からの胸膜リンパ腫発生の危険要因を検討する目的で、ケース・コントロールスタディを行ったところ、人工気胸術施行が重要であることが判明した(膿胸患者での頻度は58%、リンパ腫では79%、relative risk492、P<0.05)。 (2)胸膜リンパ腫はB細胞性である。このためEBウイルスのリンパ腫発症への関与をさぐる目的で、PCR法、in situ法を用いてEBウイルスゲノムの存在を調べたところ、膿胸のみの群では16例中2例に、胸膜リンパ腫合併群では33例中28例(85%)にEBウイルスゲノムが確認された。以上のことから胸膜リンパ腫発生には人工気胸術施行とEBウイルスの活性化が重要と考えられる。人工気胸術は、抗結核剤のない時代の結核治療法の一つであり、本邦では1回/2週で3-6年間にわたって胸腔内に空気を注入する。その際、透視下に行われることが多い。このため少なからぬ放射線被曝をうける。このことが腫瘍発生のイニシエーションとなっていると考えられる。その後20年以上にわたって胸膜炎が持続するが、炎症巣に産生されるIL-6などのサイトカイン、窒素酸化物が腫瘍発生に促進的に作用しているのであろう。そして、EBウイルスゲノムはリンパ腫では高率にみられるが、慢性膿胸では例外的にしかみられないことから、EBウイルスの活性化は胸膜リンパ腫発生の最終段階に起こっているものと考える。平成6年度は人工気胸後、膿胸に出現するリンパ球の性状とサイトカインの影響などについて検討したい。
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