研究課題/領域番号 |
05152125
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
喜多村 直美 関西医科大学, 医学部, 教授 (80107424)
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研究分担者 |
駒田 雅之 関西医科大学, 医学部, 助手 (10225568)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1993年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 肝細胞増殖因子 / レセプター / チロシンキナーゼ |
研究概要 |
肝細胞増殖因子(HGF)は、種々の細胞の増殖および運動性を制御する活性を有することから、がん細胞の増殖、浸潤・転移への関与が示唆されている。したがって、がん細胞の増殖や浸潤の特性を明らかにするためにHGFの作用発現の機序を明らかにすることは重要である。本研究では、HGFの作用発現に重要なレセプターの役割について解析した。 HGFのレセプターは、チロシンキナーゼ型増殖因子レセプターであるc‐met癌原遺伝子産物(c‐Met)として同定されている。そこでHGFの標的細胞が本来もっているレセプターと区別するために、HGFレセプターの細胞外領域とc‐Metの細胞内領域からなるキメラレセプターcDNAを作成した。さらにチロシンキナーゼドメインのATP結合部位および主要自己リン酸化部位に変異を導入したcDNAを作成した。それらのcDNAをHGFにより分散性・運動性が強く亢進されるメラノーマ細胞B16‐F1に導入し、発現細胞のEGFに対する反応性を解析した。 キメラレセプター発現細胞はEGFで刺激することにより、分散した繊維芽細胞様の形態を示し、運動性が亢進していた。したがってc‐Metの細胞内領域が、HGFの作用発現に重要であることが明らかになった。ATP結合部位変異体発現細胞をEGFで刺激した時、チロシンリン酸化は全く起きなかった。また主要自己リン酸化部位変異体発現細胞のEGF刺激時のチロシンリン酸化も低下していた。そして両変異体発現細胞においてEGF刺激による細胞分散・運動性亢進は観察されなかった。またこれら変異体のチロシンキナーゼ活性は、低下していた。以上の結果から、HGFの作用発現には、c‐Metのチロシンキナーゼの活性化が必須であり、そのチロシンキナーゼの活性化には、主要自己リン酸化部位のチロシンリン酸化が重要な役割を果たしていることが示された。
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