研究課題/領域番号 |
05152136
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
中村 祐輔 財団法人癌研究會, 癌研究所・生化学部, 部長 (70217909)
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研究分担者 |
江見 充 財団法人癌研究會, 癌研究所・生化学部, 主任研究員 (90221118)
堀井 明 財団法人癌研究會, 癌研究所・生化学部, 主任研究員 (40249983)
山川 和弘 財団法人癌研究會, 癌研究所・生化学部, 研究員 (30241235)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1993年度: 15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
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キーワード | 癌抑制遺伝子 / APC遺伝子 / 染色体欠失 / 大腸癌 / 乳癌 |
研究概要 |
APC遺伝子の発癌過程における役割を調べるために家族性大腸腺腫症(FAP)患者に生じた多数の腺腫におけるAPC遺伝子の体細胞レベルでの異常を検索した。腺腫を大きさや異型度にしたがって3群に分類して比較したところ、APCの変異はいずれの群においても同程度に認められたことから、APCのtwo-hit変異が腫瘍の発生の初期段階において非常に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、同一患者の10個の腫瘍に認められた変異はすべて異なっていたにも関わらず、わずかに15塩基の領域(APCの全翻訳領域は8529塩基)に集中していることや正常APC遺伝子を含む染色体欠失が特定の個人にのみ認められたことから、体細胞での変異はランダムに生ずるのではなく、何らかの機序に左右されていることが示唆された。また、胃においても腺腫の段階でAPC遺伝子の異常が認められ、胃癌の発生段階においてもAPCの不活性化は早期の段階で重要な役割をはたしているものと考えられる。APCに関しては、さらに、FAP患者の発症前診断に利用するため、PCRにて簡単に診断できる12システムを確立した。このいずれかの系を用いることによってFAP家系の約40%が診断可能となった。第8染色体短腕のp21.3-p22領域にある大腸癌・肝癌・肺癌の発生・進展に関与する癌抑制遺伝子については遺伝子を約600kbの範囲に絞り込みその領域からエキソントラッピング法によってすでに50個近い断片を単離しており癌における再構成や変異の有無を検索している。第3染色体p21.3領域の肺癌・腎癌・卵巣癌・子宮癌に関与する癌抑制遺伝子についても約900kbの領域に限局化し、この領域から複数の候補遺伝子を単離している。乳癌についても第17染色体q21.3から2症例において再構成のおこっているcDNA(MDC遺伝子)を単離した。
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