研究課題/領域番号 |
05152145
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
坂倉 照好 理化学研究所, 真核生物研究室, 主任研究員 (80073120)
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研究分担者 |
吉田 利通 三重大学, 医学部病理, 講師 (80166959)
吉木 淳 理化学研究所, 真核生物研究室, 研究員 (40212310)
日下部 守昭 理化学研究所, 真核生物研究室, 副主任研究員 (60153277)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | テネイシン / 細胞外マトリックス / 乳癌 / 癌間質 / 遺伝子欠失マウス / 細胞間相互作用 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
本プロジェクトでは、テネイシン欠失マウス及びその細胞を用いて癌細胞の増殖転移浸潤に及ぼす影響を野生型マウスとの比較において検討し、癌間質に発現するテネイシンの役割を解明することを目的とし、本年度は以下の成果を得た。 1)マウス乳癌細胞の腫瘍形成におけるホスト間質のテネイシンの影響を観察するために、テネイシン欠失GRS/Aコンジェニックマウス系統(N8)を作製し、GRS/A乳癌由来細胞株GLMT1の皮下移植実験を行なった。実験群は、雄のテネイシン欠失マウスおよび野生型マウスの2群で、1匹当たり2X10^6個と5X10^6個GLMT1細胞を背部皮下に移植し1、2、3及び4週目にて腫瘍重量の計測と免疫組織染色を行なった。細胞数が2X10^6個の場合、腫瘍の成長は野生型の方が2週目以後有意な成長をし、3週目までは欠失マウス移植群の方が腫瘍形成の遅延傾向が見られた。5X10^6個移植の場合、やはり2週目以降野生型移植群の腫瘍の成長は欠失群の腫瘍成長より有意な成長を示した。一方、抗テネイシン抗体を用いた免疫組織化学染色を行なった結果、欠失群では腫瘍周囲間質および皮下にテネイシンは観察されず、極く僅かな量のテネイシンが腫瘍内に観察できるだけであった。一方、野生群では腫瘍の成長に連れて大量のテネイシンが腫瘍周囲および真皮内に蓄積し腫瘍内にも強い陽性反応を観察できた。このことより、固形腫瘍形成には腫瘍周囲の間充織由来のテネイシンが必要であると考えられた。 2)GRS/Aマウスはホルモン依存性に乳癌を発生する系統であるので、テネイシン欠失コンジェニックマウスを数回妊娠させた後、乳癌の発生を観察した。ヘテロマウスでは乳癌が発生し成長したが、欠失マウスではその成長は遅かった。病理組織学的解析では欠失マウスの物は完全な乳癌ではなく乳腺上皮細胞の過形成によるものであった。現在、欠失マウスにおける乳癌発生について検討中である。
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