研究課題/領域番号 |
05201108
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
浮田 正夫 山口大学, 工学部, 教授 (60035061)
|
研究分担者 |
城田 久岳 宇部短期大学, 助教授 (70154383)
吉津 直樹 下関市立大学, 経済学部, 教授 (10115652)
堀内 隆治 下関市立大学, 経済学部, 教授 (30094717)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 生態学的経済 / 紙 / リサイクル / アンケート / 環境外部費用 / パルプ / 地球環境 / 環境倫理 |
研究概要 |
(1)再生コピー紙の納入価格は1.4円/枚、これに対して上質コピー紙は0.9円/枚である。紙質としての評価は当然上質紙の方が高い。さらに上質コピー紙の場合は3〜4円/kg程度で有償引き取りであるが、再生コピー紙の場合は、雑誌扱いとなり、5円/kgの逆有償となる。分別作業には10円/kgの費用がかかり、始めから必要な回収・処理費用を含めて価格をつけ、回収時に戻るような仕組みにしておく必要がある。また資源回収奨励金(3〜7円/kg)は実施団体に交付されているが、回収業者にも出してほしいという声がある。しかし補助金制度は自然の需給システムを乱してしまう面がある。また流通販売業界から、儲けの大きいバージンパルプの製品を優先させる傾向がある。 (2)製造段階のCOD排出負荷原単位は、5kg/tパルプと大幅に改善されているものの、COD80ppm以上の排水が大量に排出されており、なお改善の余地がある。 波及効果を考慮した、紙1単位の生産に伴って必要となる総括的水質汚濁防止費用は、現行の19,402円/百万円から約4倍の73,004円/百万円と推定された。紙1kgあたりの生態学的価格を試算した結果は昨年度とあまり変わらず、現行の2〜3倍になると予想された。追加費用の内訳としては原木とゴミ処理費の割合が高い。 (3)アンケートによれば、環境問題の解決手段は「規制の強化」、責任所在は「行政担当者」を上げる人が多く、行政への期待が大きいことが分かった。環境税は3%までが61%、認めないが22.4%であり、その受け入れはあまり積極的ではない。ティッシュペーパーが2倍に値上がっても消費量は72%程度にしかならず、あまり大きな生産量の変化はないと考えられる。また再生不可能な、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、紙おむつの再生紙化については、大部分が賛成であった。 以上、紙の生態学的適正価格について、製造段階の精度をつめ、やはり現行価格の2倍以上の価格になることを確認した。ヒアリング調査、市民アンケート調査を通して、生態学的経済システムの合理性を検証した。資源回収を阻害する原因は、処女原料が過度に安く手に入るということにあり、処女原料の環境税、紙のリサイクル目的税の検討や、古紙利用率向上の義務付けなど、国政や国際政治の場で解決すべき問題が多い。
|