研究概要 |
本研究は,次の3点を目標として行われた.(1)コンピュータに対する不安感を他のハイテク機器に対する不安感と比較することにより,コンピュータに対する抵抗感の内容を明かにする.(2)小川ら(小川,1991;小川・浅川,1991)が作成したコンピュータ不安尺度(CAS)を用いて2つの小学校を対象に調査を行い,小学生における情緒的リテラシーの差を検討すると同時に,大学生や中学生との比較によって情緒的な反応の差を検討する.(3)コンピュータ使用時における大学生のストレス場面とストレス反応について質問紙を作成し,ストレス反応の頻度と強さの構造を検討する. 研究の結果から,次のことが示された.(1)調査結果を因子分析した結果,不安感/抵抗感などが一体となった否定的感情の因子が抽出され,この因子で比較すると旅行代理店などのチケット予約システムや自動改札といった社会的なサービスを受けるための機器ほどコンピュータは否定的にとらえられていない.その反面,社会システムほど身近ではない.コンピュータはいまだ未知の存在であり,知識や技能がないと使えない機械であると考えられていることが示された.(2)小学校を対象にした調査結果を中学校や大学の結果と比較した結果,不安得点は大学生よりは中学生,中学生よりは小学生のほうが低いことが示された.(3)ストレス場面としてデータ等の情報の喪失が重要視されていること.その反面情報の保存についてストレスを感じていない(気にしていない)ことが示された.
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