研究概要 |
予備的研究の成果である『情報化社会における経済システムのピューリフィケーションと経済理論---情報通貨と経済理論---』を公表するための改訂作業から始め,これをベースに(1)取引ネットワークの高度情報化と価格メカニズムについての分析,(2)決済ネットワーク上の情報通貨の問題,(3)経済構成員間の情報の多様性が市場メカニズムに与える影響についての基礎理論的研究の3つを研究の柱とし,並行的に研究を進めた.幾つかの具体的な研究諸テーマの内,逓減的取引費用と不完全市場における価格メカニズムの関係および情報通貨と競争的プライベート・マネーの諸問題についての研究成果として,Heterogeneity of General Transaction Costs Technologies and Equilibria with or without Moneyの論文を完成させた.また,取引ネットワークにおける経済構成員間のバーゲニングの問題についての研究成果をBargaining Sets in Coontinuum Economiesの論文とBargaining Sets and Equilibria without Perfect Divisibility of Commoditiesの論文として完成させた.(投稿中の論文によっては公表までに2年以上要するものもある.) 現在,情報の多様性と情報の共通認知の問題,情報の共有と共通認知との関連,情報の多様性と市場取引におけるスペキュレーションの可能性の問題,多様な情報の下での合理的期待均衡と情報の共有化現象,市場における情報の伝達と合理的信念等の問題を研究中であり,研究ノートDifferential Informationとしてまとめている.進行中の研究ノートの内容を第4群の成果公刊の企画に盛り込む予定である.
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