研究課題/領域番号 |
05203109
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
金関 恕 天理大学, 文学部, 教授 (90068685)
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研究分担者 |
鈴木 忠司 京都文化博物館, 学芸課, 学芸員
置田 雅昭 天理大学, 文学部, 教授 (50248176)
甲元 眞之 熊本大学, 文学部, 助教授 (70072717)
渡辺 誠 名古屋大学, 文学部, 教授 (20072712)
西谷 正 九州大学, 文学部, 教授 (20037005)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 東アジア / 環境 / 文明 / 岩宿時代 / 縄文時代 / 土器 / 人口 |
研究概要 |
研究最終年度にあたる本年は、環境と文明の相互の関わりの一端を明らかにするために、昨年に引き続いて、各研究者がそれぞれの専門分野に応じた相当課題の研究に当たり、東アジアの各地域について、考古学的な見地から個別的検討をおこなった。3月5日には、最後のとりまとめとして、部内研究会を開催し、1年間の研究成果の報告を行ない、討論・総括をおこなった。研究会に参加できなかった研究者は、『研究会の記録』の紙上に研究の概要を公開した。以下、『研究会の記録』にもとづいて、3名の研究者の報告について概要を述べる。 鈴木忠治は、「日本列島の細石刄文化-人口分布・環境・生業-」として、岩宿(旧石器)時代の末期を対象に、地域別遺跡数の整理をおこない、細石刄文化の主たるセンターが、疎林と草原環境の卓越した北海道とりわけ道東部にあったことを明らかにした。 渡辺誠は、「縄文土器の機能と発達」として、縄文土器の発達が、その機能と密接に関連するものがあったことを指摘し、3つの発達段階を考えた。すなわち、ドングリのアク抜きのために煮沸用の尖底深鉢が用いられる草創期・早期の第1段階、縄文前期における製粉技術の発達を背景に、地下茎・球根類のデンプンを採取するために円筒形や平底の深鉢が発達する第2段階、祭祀の際に用いる精製深鉢の口縁部に把手状の装飾が華麗に発達する第3段階である。 甲元眞之は、中国東北部の非農耕文化地域での交流が気候変動に結びつくかどうかを検討する材料として、魚労具をとりあげ、疑似餌と離頭銛の出土遺跡の検討をおこなった。その中で、離頭銛の展開に見られる東北アジアで内陸河川流域の漁労技術が、古環境の復元的研究から指摘されている紀元前2000年紀前後の同地域での温暖化現象とそれにともなう海水面の上昇が引き起こした水産資源への依存度の高まりに対して、大きな役割を果たしたことを指摘した。
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