研究概要 |
本研究は,地下の石室,金属遺物,遺溝等を探査するための,高性能のパルスレーダ用アンテナの設計法と埋設物のイメージング法について理論的・実験的に検討するものであり,本年度は以下の研究成果を得た. 1. パルスレーダ用アンテナの設計: アンテナの放射機構を解明すると共に,レーダ用アンテナ設計の高効率化を図るため,地中遺跡探査レーダ用アンテナの3次元計解析コードを開発した.このコードは,実際に使われる複雑なアンテナを高速かつ高精度で解析できる.今後はこのコードを用いて遺跡探査用アンテナの最適設計を行う予定である.また,この計算コードの開発と平行して,地中探査用アンテナの試作を行った.アンテナの形状,キャビティの寸法,吸収体の種類や取り付け場所などがアンテナの特性に与える影響を詳細に検討し,ほぼ満足できる特性を持つアンテナを得た. 2. 埋設物のイメージング法: 本研究者らは,近似をほとんど含まないバイスタティックイメージング法を提案した.この手法の有効性を確かめるため,野外での探査実験を行った.まず,予備実験として,学内で種々の埋設物の探査を行い,イメージング法の妥当性を確認した.次に,宮城県名取市の雷神山古墳と宮城県村田町の愛宕山古墳の探査を行った.愛宕山古墳の探査結果は以前に行われたピンさし探査やレーダ探査の結果とほぼ一致し,本手法の有効性が確かめられると同時に遺物の存在を明らかにした.アンテナの最適設計,地中の誘電率の測定及び,アンテナのアレー化や時間域測定器による測定の効率化が今後の課題である.
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