研究課題/領域番号 |
05205202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
西谷 忠師 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (10134082)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 遺跡探査 / 電場磁場観測 / 石造構造物探査 / 古墳探査 / 石室 / VLF探査 / 比抵抗変化 / 位相差 |
研究概要 |
遺跡探査ではできるだけ非破壊の方法で探査できることが重要である。さらに、現場での作業効率も考慮する必要がある。これに対する答えの一つがVLF波を用いた探査であることを示した。本研究ではVLF帯の電磁場を利用した探査を実際の遺跡に適用してその効果を確かめた。見掛け比抵抗の分布を調べると同時に、電場、磁場各成分の構造に対する反応を観測した。探査場所は、福井県遠敷郡の城山古墳、十善の森古墳、西塚古墳、上船塚古墳である。これらの古墳は大部分が構造が明らかにされており、結果を評価するには都合のよい場所である。 西塚古墳の墳丘は後円部と前方部の一部が残っているのみである。後円部には横穴式石室の可能性が指摘されている。測定は後円部を50cm間隔のメッシュで行った。測定は22.2kHzのVLF波を用い、見掛け比抵抗と、電場と磁場の位相差を観測した。位相の変化はほとんど似通った値で目立った変化は表われていなかった。しかし、比抵抗には石室の位置と思われる場所で急激に値が大きくなる特徴的な変化が見られた。携帯用VLF探査装置でも古墳の石室の場合には十二分に活用できることが明らかになった。 十善の森古墳では電場と磁場を別々に測定した。測定のためにコイル、フィルターなどを自作し直交する電場、磁場を二組測定した。比抵抗に相当する電場と磁場の比は特定の場所で急激に大きな値を示した。比抵抗の増大はまさに石室の位置を示していた。ピークを示した位置では電場成分の増加が著しく、特徴的な変化は電場成分によってもたらされていることを明らかにした。上船塚古墳では石室の位置、側室方向を推定することが出来た。 VLF探査は測定も簡便で古墳の石室のような比抵抗コントラストの大きい対象物には特に有効であり、見掛けの比抵抗分布から概略の位置把握が可能である。電場と磁場では電場成分が重要な役割を演じていることがわかった。この点は新しい探査装置の開発には極めて重要な情報となるであろう。
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