研究課題/領域番号 |
05206202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 寿一 東京大学, 教養学部, 助教授 (30172894)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | チンパンジー / 音声行動 / 個体差 / 社会的順位 / 性選択 / 誇示行動 |
研究概要 |
今年度はチンパンジーのpanthoot音の個体差と個体内変異を中心に分析を行なった。タンザニア・マハレ国立公園のチンパンジーのオトナ雄のpanthoot計43サンプルについて、1)持続時間、2)climax部の基本周波数の最高値、3)climaxの持続時間、4)climaxが反復したときの時間間隔、5)built-up部の1呼吸の平均長を測定した。これらについてオスの年齢との関係をみると、1)は年齢と相関せず、2)は20歳代前半に、また3)は20歳代後半にそれぞれピークのある凸型2次関数で近似できた。また、4)、5)はともに加齢とともに増加した。すなわち、panthoot音の周波数成分の個体差が年齢を変数としてある程度説明できた。1つのclimax音が「高く/長く(立派に)」叫ばれるピークが20歳代の社会的順位がもっとも高くなる時期に発声され、雌では発達していないことを考え併せると、この音声が性競争と深くかかわることが示唆される。個体内変異に関しては、第1位雄の11回のpanthoot音を発声状況(場所、時間帯、単独か合唱か、ドラミングの有無)で分類してその対応を調べたが、開けたキャンプでの発声が森林部での発声よりも有意に高かった。個体差の結果とあわせると、panthoot音が雄の誇示行動と強い相関があることが明らかにされた。 もうひとつの研究テーマであるニホンザルの音声行動の信号機能とその発達に関しては、調査地の選考をほぼ終えて、まもなく個体識別作業を始めるところである。
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