研究課題/領域番号 |
05208101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松村 良之 北海道大学, 法学部, 教授 (80091502)
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研究分担者 |
長谷川 晃 北海道大学, 法学部, 教授 (90164813)
高橋 恵子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40050786)
波多野 誼余夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60049575)
太田 勝造 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (40152136)
西脇 与作 (西脇 予作) 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30118989)
松浦 好治 大阪大学, 法学部, 教授 (40104830)
森際 康友 名古屋大学, 法学部, 教授 (40107488)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
24,400千円 (直接経費: 24,400千円)
1997年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1996年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1995年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1994年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1993年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | 素朴心理学 / エキスパートシステム / 知識 / 裁判官 / 法律家 / 正義観念 / 専門家 / 職業的社会化 / 人工知能 / 認知科学 / 統一動産売買法 / 機能主義 / 表象説 / 自然主義 / 法的知識 / 認知モデル / 推論 / スジ / スワリ / 裁判 / 決定 / 暗黙知 / 知識表現 / 論理学 / 言語 / オートポイエーシス / 高階 / レイ・セオリー / 帰属理論 |
研究概要 |
本年度はもっとも制度化された知的職業である裁判官の制度化されていない専門的知識はどのような形で存在しているか、そのような知識はエキスパートシステムとどのように関わってくるかが探求された。松村、太田は裁判官のキャリアパターンと質問票の仮設的事例に対する彼らの反応との関係から、裁判官の職業的社会化は強力で基本的には斉一的パターンを示すこと、それにもかかわらず、訟務検事経験者、家裁経験の長い者などは、事案処理の変数のみならず事案認知の変数に対しても特異な反応を示すことを明らかにした。波多野、高橋は社会心理学的な手法で、逸失利益の算定において、被害者が大学を卒業して就業したと想定しうるか、その蓋然性の評価条件を実験的に確かめた。熟達者でも条件の重みづけには個人差があったが、それぞれが一貫し、しかもいくつかの条件を組み合わせた基準を用いていたのに対し、初心者では基準が単純になったり一貫しなかったりした。しかし、どの群の判断でも、被害者の年齢、「名門校」に在籍しているか、親の学歴がこの順に考慮されていた。西脇は、素朴心理学の観点から専門家の知識を整理し、合理的人間と信念-欲求-行動パターンによる人間理解、これが法的なシステムで人間を扱う場合の暗黙の仮定となっていること、この仮定を遡ってみると、そこには私たちが日常生活で前提している常識心理学と人間の歴史が見えてくるが、法的なシステムは多くの素朴心理学的な概念に支えられていることを示した。長谷川は、専門家の知識を法哲学的に整理し、法的推論の深層構造と正義観念の関連性を検討した。そして、法的推論はその深層に存在する価値評価の判断構造の産物であり、それに相対的に構成されるものであること、また、このような深層構造において重要なのは、対立する価値観の調整であり、そのための規準として正義観念が存在していることを示した。
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