研究概要 |
4'-C-メチル-リボフラノシルヌクレオシド類は特殊な糖のコンホメーションを取る為、生体中でヌクレオシドとして認識されないこと(生理活性なし)が分かったので、それらに相当する2'-デオキシ体の合成を行い生理活性を調べた。現在、チミン-(I)、シトシン-体(II)の結果がでており、これらは抗HIV活性と細胞毒性も持つこと特にIIは白血病細胞にかなり選択的に効くことが分かり、現在治療薬としての可能性を検討中である。また、2'、3'-ジデオキシT(III),ジデオキシジデヒドロT(IV)は殆ど抗HIV活性を持たなかった。これはIII,IVは現在臨床試験中のDDIやD4Tと異なり5'-OHが生体中でリン酸化されない為であると考えられる。4'-置換ヌクレオシドの5'-OHがリン酸化されるためには3'-OHが必要であることが明らかとなったので、3-OHに4'-OHが代わり得るかを調べるためにVの合成もおこなった。4'-C-メチル以外の官能基(CN,C-C,C-C等)導入の為の合成方法を確立した。一方アノメリック位以外に核酸塩基を持つヌクレオシド類の合成は、VI、VIIを合成しVとあわせて現在生物活性の試験中である。VIの合成の際、異状反応がみつかり生成物の構造および反応機構を現在研究中である。
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