研究概要 |
これまでGaAs(001)及びSi(001)の平坦面と微斜面上における分子線エピタキシー法による結晶成長を非平衡統計力学の立場から経路確率法(PPM)により解析してきた。その結果、RHEED(反射高速電子線回析)強度の振動現象の実験結果の再現、及び表面モルフォロジーを調べる事により結晶成長様式の変化の説明に成功した。平成5年度は (1)GaSi(001)模型に関しては、モンテカルロ・シミュレーションを行い、経路確率法による結果とシミュレーションによる結果の比較を行った。 経路確率法では点近似(分子場近似)で解析しているため、シミュレーションとは成長温度は異なるが、シミュレーションによる結果は層成長からステップ前進モードへの変化及び表面モルフォロジーの時間発展まで経路確率法によりをきわめてよく再現される事が明らかになった。 (2)Si(001)微斜面に関してはアニーリング下における熱電流効果を調べた。Si(001)微斜面は一層毎に異なる2種類のテラス面A、Bが存在し、電場の方向をステップ・アップの方向にかけるかステップ・ダウンの方向にかけるかでA,Bテラス面の増大・減少が反転する。A,Bテラス面の異方性を取り込むのみならず微斜面のステップに於いて原子の取り込みの違いを考慮するとテラスの反転現象は容易に起き得ることを明らかにした。シミュレーションとの比較は現在進行中である。
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