研究概要 |
低ドーズのArスパッタにより非晶質化したSi(100)表面を真空中の熱処理により固相エピタキシ成長させ,表面欠陥の回復過程を実時間観察し,結晶性回復プロセスを原子レベルで明らかにした.Arスパッタ表面は直径10A程度のSiクラスタで覆われるが,250℃程度の低温アニールにより,Siクラスタ融解による表面の平坦化と部分的な結晶化が始まり,長時間のアニールにより最表面層までの単結晶化が進行する.しかし,表面には種々の欠陥とアイランドが多数存在し,荒れたモルフォロジーを呈する.更に高温(500℃程度)アニールにより平坦化が進行するものの,表面欠陥は明瞭な形で現れてくる.これらの表面欠陥はダイマー列の欠損したミッシングダイマー,ダイマーの欠損した点欠陥,ダイマー列の位相のずれたアンチフェイズドメインなどである.高温のその場STM観察から欠陥の回復過程に関して多くの知見を得た.すなわち,アンチフェイズ境界が結晶成長の核成長サイトとして働くこと,ダイマー欠陥はダイマー列上を移動し,表面にダイマー欠陥が抜けることで結晶欠陥が回復すること,ダイマー欠陥はダイマー列に垂直方向にならび列欠陥を形成すること,ダイマー列方向には欠陥同志の反発力が働き欠陥列はほぼ等間隔を保つことなどである. Si(111)-7x7表面のAl吸着構造に関しては以下の知見を得た.Alを1ML程度蒸着させると,ガンマー相という表面最配列構造を示す.この局所原子配列構造はまだ解決していない.STMの詳細な観察から,この相がDAS相を下地としており,アドアトム相が除去された後レスとアトム相のSi原子をAl原子が置換した構造となっていることを明らかにした.この知見に基づき,1ML以下からのAlのエピタキシ成長過程を検討した.
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