研究概要 |
本研究は,光並列演算とある種の並列演算モデルの親和性に注目し,それらを融合した光並列演算システムを実現しようとするものである.つまり,偏微分方程式で記述されるような並列演算モデルが要請する大規模並列性を光演算の原理的な並列性を利用して実現し,その演算に対し学習機能を導入することにより汎用性に欠けるとされてきた光演算に柔軟性を付与しようとするものである. 本年度は,前年度の成果を踏まえ,超並列演算処理機構のアーキテクチャの改良を行うとともに,新たに書き換え可能なホログラムにより光インターコネクションを用いた光-電子ハイブリッド型並列演算処理システムを試作し,実験システムの並列度並びに多層化の限界等について,理論的・実験的検討を行った.その結果,プロセッシングエレメント間で良好なインターコネクションが実現されていることを確認し,速度や分解能等の解析により,今後の改良の指針を得た.また,現在のデバイスを用いる場合,7×7程度のインターコネクションが実現可能であることがわかった.このシステムの特徴は,シフトインバリアントなインターコネクションを実現するために,書き換え可能なホログラムとして,最適化を施した計算機ホログラムを用いている点と,それを実現するために,位相変調タイプの液晶空間光変調素子を用いている点である. これらと同時に,本研究で開発している演算アーキテクチャの演算機能に関する評価方法,とくに演算の汎用性,並列化の限界等の評価方法の検討を行った.また,前年度提案した光ニューロコンピューティングの一種である相関学習を用いた連想記憶の新しい学習方法(スパースコーディングを主体とした3つの改良)について,具体的な実現方法について検討を行った.
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