研究概要 |
本研究は,完全な知識と不完全な知識の双方を扱いうる高次論理型データベースALDBを対象に,高次推論環境下での帰納的知識自動獲得法の確立を目標とするものである.本研究に関し,今年度の研究成果を要約する. 1.関係代数によるALDBの問合せ手続き これまでにALDBの問合せ手続きとして,反駁証明プロセスによるものを開発したが,データベースの操作性という点からは不十分であったので,関係代数に基づく問合せ手続きを提案した.ALDBの不完全ルールの評価が,関係代数演算の射影,自然結合,選択により表現されることを示した.また,例外を記述する述語を導入し,論理式を関係代数式に変換してボトムアップ的に評価する手続きを与えた. 2.例外事例を含む外延データベースからの知識獲得 事実を表す集合である外延データベースに例外が存在することを仮定して,帰納的学習の基礎検討を行った.本研究では,通常の帰納的学習で用いる正負の事例に加えて例外事例という考え方を導入し,事例の典型的な特徴に着目して例外事例を検出する手法を提案した.さらに,提案手法により検出された例外事例のクラスを反転させ,再学習したところ,極めてコンパクトな記述が得られることを実験的に確認した. 3.ルール変換によるALDBの自己組織化 データベースは一般に大規模化するに従い,ノイズや例外などのデータが増加し,この種のデータのハンドリング技術の確立が望まれる.本研究では,新規追加データに起因する矛盾が発生したとき,これを発見し,完全ルールから不完全ルールに変換して,自己組織化することにより,無矛盾性を維持する手法を提案した.
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