研究課題/領域番号 |
05214205
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
富取 正彦 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10188790)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 走査型トンネル顕微鏡 / 走査型トンネル分光法 / Geクラスター / Si(001) |
研究概要 |
Si(001)面上に成長させたGeクラスターの形状・電子状態をSTM/STSで解析した。Si(001)面上の少量のGe原子は、表面のSi原子と同様に原子2個からなるダイマーを形成し1列に並ぶ。基板温度300℃以上では、Ge蒸着量約3MLを境として2次元層状から3次元島状成長に変わる。層状成長では、GeとSiの格子不整合を緩和するようにダイマー欠損列が導入され、Ge膜はベルト状やパッチ状に観察される。島状成長では4つのファセット{015}面で囲まれたhut clusterが基板表面を覆い、蒸着量を増やすと成長温度によって膜の形態が変わる。300℃ではhut clusterが融合するが、400℃では4つの{113}ファセットをもつ大型clusterが成長し、500℃ではdome clusterが成長する。この形態変化の相図を作成した。400℃でGeを5ML蒸着した後500℃で熱処理すると、巨大clusterが成長するが、試料全面を覆っていたhut clusterは消失し、パッチ状膜が出現する。成長初期にも現れるこの構造は下地に対して安定であるが、上部のhut clusterは密着度が低い。巨大clusterの裾野には{105}ファセットが存在する。 Si(001)面上のGeはダイマー列に沿った方向に優先的に初期成長する。そのダイマー列終端部に注目した。300℃で成長させた場合、列終端部の列延長線上で1ダイマー分だけ離れた下地ダイマー列上にダイマーが形成され、もう1ダイマー分だけ離れた下地ダイマー列上に1原子が配置されることがある。列終端部は基板ダイマー列方向に沿って拡散した原子を捕獲するが、ダイマーが連続的に配列するとは限らず、拡散原子は列延長線上で下地ダイマー列上に配置される。この配置のダイマーは、連続的配置のダイマーと異なり、占有状態のSTM像でダイマーの2原子が分離して観察される。この領域でのSTSスペクトルは、エネルギーギャップの増加と空状態密度の増加を示した。ダイマー列終端部での原子位置変化がsp混成度を減少させたことが示唆される。
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