研究課題/領域番号 |
05214208
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 信夫 名古屋大学, 工学部, 助教授 (40126876)
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研究分担者 |
木塚 徳志 名古屋大学, 工学部, 助手 (10234303)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | MgO / 真空蒸着膜 / 原子クラスター / 構造と物性 |
研究概要 |
本年度は最終年度として、これまでのMgO中の金属クラスターとの比較のため、MgO単結晶膜上に担持したクラスターの動的現象、特に構造の安定性について詳しく調べた.今回、高感度TVカメラを備えた高分解能電子顕微鏡に高温ステージを取り付けた観察装置とデジタルフレームメモリ画像処理装置のシステムを本科研費によって建ち上げ、0.2nm以下の点分解能を持つ1/60秒毎の像(フィールド像)でクラスターの構造変化、分裂過程及び接合過程を直接捉えることができた. 試料はNaCl劈開面上に作製したMgO単結晶膜上に金、銀、タングステンなどを平均膜厚数nm真空蒸着したものである.この試料を用いて、MgO極細ロッド上に固定された2nmの直径の金クラスターが動的変動をする過程で、構造の持続状態の経過時間から各構造の安定性とそれに及ぼすMgOとの界面の効果をはじめて議論することができた.またMgO上の直径1nmの金クラスターの分裂過程を観察した.クラスターの分裂過程は自由空間中を飛行するクラスターでは“クーロン分裂"としてよく知られているが、実空間で直接観察したのは世界ではじめてである.また、同様の方法で作製した試料で、金結晶上の1-2nmの大きさのMgOのクラスターの動的変動を世界ではじめて観察した.MgOは共有結合的要素を持つイオン結晶であるが、上記の金クラスターなどと異なり、構造変化は全く起こさず、電子顕微鏡観察中に回転と表面ステップの移動、及び表面原子の脱離を起こしただけであった.タングステン(W)/MgOの試料では、直径数nm以下のW-クラスターがMgO(001)表面上に吸着した試料が得られた.MgO極細ロッド上に固定された数nmのタングステンクラスターはA-15型構造を示した.MgO表面上に吸着した単原子に近いクラスターは観察中に表面を2次元的に拡散しその過程を連続的に記録した.常温から400℃の基板温度でのクラスターの「飛躍距離」の測定からこの表面拡散過程の活性化エネルギーを電子顕微鏡観察から世界ではじめて求めた.
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