研究課題/領域番号 |
05215214
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 秀夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50114351)
|
研究分担者 |
黒木 和彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10242091)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 超伝導 / 強相関電子系 / 電子核構 / 量子モンテカルロ法 / 朝永・ラッティンジャー模型 / 2バンド系 / ハバード模型 |
研究概要 |
複数のバンド(α、β)からなる多体電子系における斥力による超伝導発現の可能性に関して調べた。まず、金属(α)バンドと絶縁体(β)バンドからなる多バンド有限系に対して、クーパー対相関、CDW相関、SDW相関を量子モンテカルロ法により計算し、単一バンド系のそれらと一致することを確認した。特に、生のαバンド斥力を0としたときは(拡張)引力ハバード模型に写像される。ただし、この有効引力は小さく、また一次元においてはこの引力はon-siteに限定されるので、現実には強いon-site斥力が引力を打ち消してしまい、超伝導発現は難しい。2次元では引力は隣接site間にもはたらき得るので、超伝導の可能性は高まる。この可能性の追求は将来の課題となる。 一方、α、βバンドともに金属の場合は、系は一般には単一バンドに写像され得ず、異なるアプローチが必要である。我々はこの問題を1次元連続体(前方散乱のみの場合は所謂朝永・ラッティンジャー模型)を2バンドに拡張した模型で考えた。この系は厳密に相関関数が得られるので、それにより相図を描いた結果、斥力だけの系においても、αバンド内の超伝導相関が最も支配的になるパラメーター領域が存在することがわかった。ただし、その領域は1次元の連続体に関してはバンド間の斥力がバンド内斥力よりも大きい領域なので、現実的な領域での斥力からの超伝導は、やはり離散格子上の系や高次元で探るべきであろう。 超伝導以外にも、純斥力系におけるスピン・ギャップの存在という、興味深い現象が発見された。すなわち、SDW相関が引力ハバード模型のそれと一致する場合は、純斥力多バンド系におけるスピン・ギャップの存在を意味する。我々はさらに有限系のスピン励起エネルギーを量子モンテカルロ法により計算し、そのサイズ依存性からもスピン・ギャップの存在を示唆する結果を得た。
|