研究概要 |
本年度の主な研究成果は以下の2つである。 (1)不純物KKR-グリーン関数法で金属中の3d遷移金属不純物、3d遷移金属不純物-3d遷移金属不純物、および3d遷移金属不純物-空格子の系でのスピン偏極エネルギーを調べた。空格子が第一近接位置に存在すると、3d遷移金属不純物の3d軌道はより孤立原子にちかくなり、磁気モーメントが増加してスピン偏極エネルギーも増加する。3d遷移金属系の表面エネルギー、凝集エネルギーなどの磁気異常エネルギー(方物線変化からのずれ)も、母体原子に比して孤立化することによるスピン偏極エネルギーの増加で説明できることを示した。 また、不純物クラスターを大きくして、その中でいろいろな原子配置を考えることで、合金の電子状態を研究するやり方の可能性を調べた。例えば、Cu中の55-原子不純物クラスター(4近接原子まで)で、不純物をすべてCoとすると、真ん中のCoは殆どbulk-Coの磁気モーメントになる事がわかった。他の遷移金属についても、同様である。 (2)LMTO法によって、PerdewとWangによって提唱された、局所密度近似を越える試みの1つであるGGA(generalized gradient approximation)の可能性を調べた。Fe,(γ,δ)Mnの凝集エネルギーが定性的に説明される。また、LSD近似の範囲内ではあるが、FLAPW法でγFの磁気エネルギーによる格子変形をしらべた。これから、GGAを取入れた計算を行ない、実験と比較する。
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