研究課題/領域番号 |
05215225
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松川 宏 大阪大学, 教養部, 助教授 (20192750)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 摩擦 / クーロンの法則 / 清浄表面 / トライボロジー / Aubry転移 / 超潤滑 / 電荷密度波 / ピン止め |
研究概要 |
摩擦は工学上はもちろんのこと、物理学上も極めて興味深い問題であるが、多くの重要な問題について未だ明らかでない点が多い。本研究では、原子的なスケールから摩擦の問題を考え、それらの問題を理論的に明らかにすることをめざした。 摩擦を理論的に研究するとき、何をどのように計算すれば良いのかがまず問題となる。我々は原子レベルの一般的なモデルから出発しこの問題を考え、定常状態での摩擦力の計算方法を明らかにした。次にこの方法を用い、近年注目を集めている原子的なスケールで完全に乱れが無い表面間の摩擦力を、物質の原子配列、及び各々の原子の自由度を共に1次元としたモデルに基づいて計算した。そして2つの物質の格子定数の比が無理数のとき、原子間の相互作用の強さにある臨界値があり、それ以下では最大静摩擦力が0となること、しかし動摩擦力は常に有限であり、相互作用の強さにより様々な速度依存性を示すこと等を明らかにした。同様な結論は各々の原子の自由度を2次元としたモデルでも得られた。 現実の系では必ず乱れが存在する。そのときでも最大静摩擦力は0になり得るのか否かが問題である。我々は上下の物質の原子の間の相互作用を摂動とする計算、及び、有限サイズスケーリング理論を用いた数値計算を行ない、最大静摩擦力が0の状態は乱れに対して不安定であり、少しでも乱れがあれば有限の最大静摩擦力を生じると考えられることを示した。 さらに摩擦の問題と擬1次元導体において観測されている電荷密度波の運動の類似性を論じ、広い範囲でみられる速度に依存しない動摩擦力が、乱れのある系での運動の特徴として理解できる可能性を指摘した。 これらの成果の発表は、裏面に記載のものの他に現在、論文をPhys.Rev.Bに投稿中である。
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