研究概要 |
1.星間雲が重力収縮して行く過程について,数値磁気流体力学的な方法を用いて調べた。 このときの収縮は,内側から外側へ起こる。つまり,磁場と熱圧力によって自己重力を支えられない場合は,周辺部ではほとんど収縮が起こらない間に中心で高密度のコアが形成され,その部分だけが動的に収縮を続ける。これを追跡するには,コアの部分を空間高分解能で追跡することが必要であるが,今回,これに最適な数値計算法nested grid(入れ子グリッド)法を開発した。 2.nested grid法では(軸対称2次元の場合)中心の1/4の領域を1/2の幅の細かいメッシュ点を持つ入れ子のグリッドで覆い,中心部はこのグリッドで計算するう。そのさらにその1/4の領域をさらに1/2の細かいメッシュ点を持つ入れ子のグリッドで覆う。この方法によって,高い空間分解能と高速の計算という二律背反的な条件をあわせ持つ計算法を開発することができた。 3.今年度は,これを軸に平行な磁場に貫かれた円柱状の等温星間雲の重力収縮過程の研究に適用した。これによって,(1)磁場の効果によって,磁場に垂直なディスクが形成される。(2)中心部が暴走的な収縮をするのは,このディスクの質量/磁束比が(圧力平衡解の解析によって知られている)特性値を越えた場合に限られる。(3)これは,磁気圧と熱圧の比が一定のモデルを考えると,この比が100程度以上になった場合におこる。以上の点が明らかになった。
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