研究課題/領域番号 |
05218102
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波技術短期大学 |
研究代表者 |
堀越 源一 筑波技術短期大学, 電子情報学科, 教授 (90023697)
|
研究分担者 |
船戸 康幸 鈴鹿工業高等専門学校, 教授 (10005358)
松田 七美男 東京電機大学, 工学部, 講師 (90181734)
久保田 雄輔 核融合科学研究所, 助手 (50023726)
赤石 憲也 核融合科学研究所, プラズマ計測研究系, 助教授 (90023720)
小川 雄二郎 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助手 (70177145)
斎藤 芳男 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (00141979)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1993年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | 表面処理 / ガス放出 / コーティング / 大型排気系 / 超高真空 / 表面吸着 |
研究概要 |
本研究の目的は長基線レーザー干渉計のための超高真空計の建設を想定し、加熱脱ガス処理を経ないで短時間で超高真空実現する方法を探り、実用化への基礎固めを行うことである。そのために、代表的超高真空を材料であるステンレス鋼を対象に、ガス放出低減のためのいくつかの表面処理法を、実用的な立場から確認試験を行った。表面処理の対象とした真空部品は、直径150mm、長さ1mの導管である。 前年度までに、このようなサイズのパイプの内面に各種の表面処理を施すための装置が完成、テスト用パイプとして用意された上記サイズのステンレス鋼導管にTiN、CrNコーティング等を施し、ガス放出率低減の効果を確認しているが、客観性をも持つ定量的な数値決定については不充分であった。 本年度は、これまでに得られた多くのデーターに定量性を持たせるため、微小なガス放出量に対しても定量性のあるコンダクタンス・モジュレーション法による測定を行った。この結果、大気に暴露した後、加熱脱ガス処理なしに56時間(2日+8時間)の排気の後のガス放出率として、次の値を得た。 未処理のもの:6.0×10^<-9>Pa・m^3・s^<-1>・m^<-2>(=4.5×10^<-12>Torr・l・s^<-1>・cm^<-2>) TiNコーティング処理のもの: 3.0×10^<-9>Pa・m^2・s^<-1>・m^<-2>(=2.2×10^<-12>Torr・l・s^<-1>・cm^<-2>) 又、同じコンダクタンス・モジュレーション法によって、放出ガスの主な分子種についての放出率を、TiNコーティング処理したパイプを大気暴露したものと、窒素ガスに曝したものとについて調べたところ、水蒸気に関係する分子種(H_2O及びOH)の占める比率が大気暴露後のもで目だって多いが、他の分子種(CH_4、CO、N_2、CO_2等)にはそれほぼ差がないことが分かった。これより、TiNコーティング処理を施した表面でも、依然として大気中の水蒸気の表面吸着が、ガス放出の最も支配的な過程であると考えざるを得ない。 本研究によって、TiN、CrNコーティングで代表される表面処理法によって、ガス分子の吸着確率を大幅に低減し、未処理のものに比べて、大気暴露後再排気したときのガス放出率を50%以下に低減できた。しかし、依然として水蒸気の吸着が支配的であり、残存する放出ガスは依然として、水蒸気の表面吸着によるものであることが分かった。より有効な表面処理法は今後の開発に期待しなければならない。
|