研究課題/領域番号 |
05220207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
無藤 隆 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (40111562)
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研究分担者 |
遠藤 利彦 聖心女子大学, 文学部, 専任講師 (90242106)
田代 和美 お茶の水女子大学, 生活科学部, 専任講師 (80227074)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 乳児 / 他者への問い合わせ / 社会的参照 / 6カ月児 / 情緒的コミュニケーション / 表情 |
研究概要 |
前年度において、12カ月児の「能動的な他者への問い合わせ」行動(Active Social Referencing)を実験的に検討し、肯定的条件と否定的条件に応じて、乳児が曖昧な対象に対しての接近行動を変化させることを見いだした。本年度は、6カ月児40名ほどに対して、同様の条件で実験を行った。リモコンのぬいぐるみを30秒間動かし、乳児の前に持っていき、計3分間置いておく。母親は乳児がその顔を見るか、30秒後に乳児に対して、前もって割り振られた正負どちらかの情緒情報を与える。その結果について、乳児の刺激と母親への接近度その他を得点化し、正負の条件で分散分析した。(性差は有意でない。)刺激への接近度は有意に正情緒条件の方が高かった。母親への接近度は、負条件の方が高かったものの、分散が大きく、有意ではなかった。乳児の表情や発声から乳児の情緒状態を評定したところ、正条件では正の情緒が、負条件では負情緒が高かった。以上の主な結果に加え、母親が教示の細部から逸脱することが多かった。一つには、乳児の動きを物理的に制御しようとする行動が約半数に見られた。また、母親自身が刺激をなぜるなどの行動も、半数近くに見いだされた。言語による「だめ」といった指示も、負条件ではほとんどすべてに、正条件では3割に見いだされた。これらの行動は12カ月時には見られていない。その上、6カ月時での母親が教示を理解していないとは思われない。例えば、逸脱を後で詫びたり、逸脱をした直後にはっとした様に実験者を見ることが多く見られている。以上から、この実験での正負の条件の違いは、母親が情報情報だけでなく、物理的に直接乳児に働きかけるという方略を取らざるを得ないことによるようだ。それはつまりこの時期の母子の相互の制御方略を反映しているのであろう。純粋に表情による制御が困難なことの反映だろう。乳児は母親の表情には同じ表情で返しているように思われる。
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