感性品質や感性商品に関する情報やデータを体系的に収集し、処理・分析して、感性デザインの開発を支援するマーケティング情報システムを構築するための基礎的な研究を行い、本年度は以下の知見や成果を得た。 1.感性品質や感性商品、感性評価及び感性デザインの定義を行い、その特徴を明らかにした。 2.感性デザインのためのマーケティング情報システムについて、定義や内容、問題点及び課題を検討した。 3.感性デザインのクオリティ(質)について、サービスの質の構造と同様に計測・計量化することを検討した。 4.システムを構成する統計バンクにおける感性評価データの解析手法について、以下の検討を行った。 (1)感性商品の評価に関する選好構造を多元的に表現して、生活環境におけるアメニティを追求するためにファジィ構造モデルを応用することを試み、マンションのデザインの評価を高めている条件を明らかにした。 (2)計量心理学の手法である「Scheffeの一対比較法」について、一対比較が不完全な場合、ならびに、評価項目が複数ある場合にも適用できるように、手法の改良・拡張を行った。 (3)外れ値や異常値の影響を受けにくくするため、探索的データ解析を適用することを検討した。 5.システムを構成するモデルバンクにおける分析モデルについて、以下の改良を行った。 (1)AHP(階層化意思決定法)について、評価が整合的でない場合にも適用できるように改良を行った。 (2)微妙で複雑な商品の機能やコストを分析するためにVE(価値分析)手法をファジィ理論により改良した。 (3)感性商品を開発する際の品質保証システムにおいて、ファジィ理論を応用することを提案した。 なお、これらの研究成果について30件の発表を行った(印刷中を含む)。
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