研究課題/領域番号 |
05221211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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研究分担者 |
柳 健一 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70239797)
大川 敬子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30251052)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1993年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | 微小循環 / バイオメカニクス / 白血球 / 血管内皮細胞 / レオロジー / 血行力学 |
研究概要 |
微小循環の障害は、臓器・器官への血液の供給と物質交換を破綻させ、全ての循環器疾患の病因に第一義的に関わっている。血液を構成する有形成分のなかでも、白血球は変形性に乏しく、血管壁に粘着する性質があるため、特に組織血流への影響が大きい。そこで、本研究では、微細な血管内での白血球の挙動の動的機構を解明することを目的とし、生体顕微鏡下に解析した。さらに、その機序を細胞生物学的側面から考察するために、血管内皮細胞上に存在する細胞接着分子の蛍光染色を併せて試みた。 In vivo微小循環系の観察対象としては、ラット腸間膜の微小血管床を用いた。白血球を選択的に蛍光染色しつつ、血管床の顕微鏡像をビデオテープに記録し、各血管における白血球の流入数、血管壁への粘着数と粘着後の挙動を経時的に計測した。その結果、細静脈合流部では、白血球活性化物質の投与によって、白血球の粘着の亢進が観察されるが、1)この現象は、血管壁に粘着しているものが増えるためであること、2)血管壁上を転回する、あるいは、本流を流れる白血球、および合計の白血球の数は、かなり減少していること、の2点が明らかになった。また、本流を流れる白血球の計数に関して、蛍光色素による選択的な可視化法が非常に有益であることが確認された。 上記の結果をふまえて、血管内皮細胞膜上に存在し、白血球との粘着を司る細胞接着分子の分布について、モルモット腸間膜の微小血管床を用いて検討した。間接蛍光抗体法を用いて、細胞接着分子を蛍光染色したところ、VCAM-1は主として細静脈に分布する傾向が認められたのに対して、ELAM-1は、細動脈・細静脈ともにほとんど観察されなかった。さらに、培養血管内皮細胞を用いて同様の染色を行った結果、これらの接着分子の発現が、流れの影響によって調節を受ける可能性が示唆された。以上より、微小循環系における血球成分の挙動には、血管内皮細胞との相互作用、特に、細胞表面の接着分子の関与が重要であることが示された。
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