研究課題/領域番号 |
05221213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 譲二 東京大学, 医学部(医), 客員助教授 (20159528)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 細胞内カルシウム / ずり応力 / 一酸化窒素 / ATP |
研究概要 |
本年度はまず培養内皮細胞に流れずり応力を負荷する装置を設計、製作した。この装置は基本的には平行平板型チャンバーで、流路の高さを変えることで、100dyn/cm^2までの高いずり応力負荷が可能であった。また細胞にずり応力を作用させた際の産生物質や遺伝子レベルの変化を検討するために必要な多量な細胞に流れ負荷を加えられる大型の装置も完成した。こうした装置を用い内皮細胞に流れを加え、その情報伝達を検討したところ、セカンドメッセンジャーである細胞内Ca^<++>濃度の上昇反応が観察された。この場合潅流液中にATPの存在が必要で、細胞外ATPが約500nMの濃度で存在するとき、流速と比例したCa^<++>濃度上昇が認められた。この反応に物理的刺激であるずり応力が重要なのかあるいはATPの内皮細胞表面への到達量が重要なのかを判別する目的で潅流液の粘性を変える流れ負荷実験を行ったところ、Ca^<++>上昇はずり速度(ATPの内皮細胞表面への到達量を規定する)ではなくずり応力に依存することが判明した。以上の結果から内皮細胞にはずり応力を感知して、その情報を細胞内Ca^<++>濃度変化に置き換えて伝達する機構のあることが示された。このずり応力によるCa^<++>上昇反応が内皮機能を修飾する可能性が考えられた。とくにその活性がCa^<++>-カルモデュリン依存性であるNO合成酵素の作用が増強し、血管拡張物質であるNOの産生が高まることが予想された。そこで内皮細胞にずり応力を作用させてNO産生量を計測したところ確かにずり応力によりNO産生が刺激を受けることが示された。 本年度の検討により内皮細胞の血流感知機構と応答の様式の一部が解明された。
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