| 研究概要 |
分離や反応などの操作を考えるとき、溶媒の探索は重要な課題の一つとなる。とくに、多成分系液体混合物を対象にすると、従来の概念では多種類の溶媒が必要で、プロセスも複雑になる。近年、新しい溶媒として注目されている超臨界流体は気体から液体までの性質を連続的に示すことができ、その制御も技術的に可能である。この超臨界流体の溶媒特性を解明し工学的に高度な利用を目的とする場合、臨界点近傍を含む広い範囲の熱力学的諸量を十分に把握する必要がある。しかるに、平衡・非平衡物性のような工学的に重要な基本物性に関する測定データが不足しており、信頼できるデータの入手が望まれている。なかでもP-V-T関係データは最も基本的なものの一つであり、他の熱力学量を求める際の基礎となるものであるから、できるだけ正確なものでなければならない。ところが、工業上需要が高い混合系に関するものは高圧を対象とする高精度の測定装置を必要とするため、ほとんど測定解析は行われていない。本研究では、現在まで開発改良してきた定容積法に基づく測定装置を用いて、第1成分には超臨界二酸化炭素、第2成分にはエントレーナー効果が期待されるnブタンおよびその構造異性体であるiブタンとする2成分混合気体のP-V-T関係を精密に測定した。本年度は、二酸化炭素-nブタン系では298.15,304.35,310.93,313.15,323.15,373.15Kで、二酸化炭素-iブタン系では298.15,303.15,303.95,304.35Kで圧力約8MPa以下の範囲を測定した。得られた実測値に対して、本重点領域研究メンバーでグループ寄与法による相関法を提案している栃木の方法を用いて相関を行ったところ、良好な結果が得られた。
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