研究課題/領域番号 |
05223204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
千葉 晶彦 岩手大学, 工学部, 助教授 (00197617)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 金属間化合物 / 延性 / 高温延性 / 高温強度 |
研究概要 |
最近微量のZr添加がNi_3Alの延性を改善をすることが明らかになった。これよりさきに、筆者らはZrのようにNi_3Alの規則化エネルギーを上昇させる第三元素の添加は、Ni_3Alを脆化させることを指摘しており、このようなZrの微量添加の効果は筆者らが得た知見と異っており興味深い。そこで、本重点領域研究の取り掛かりとして、この微量のZr添加によるNi_3Alの延性化機構を明かにすることを当面の検討課題とした。得られた知見は、Zr添加の場合だけに当てはまる特殊事情ではなく、本質的なNi_3Alの延性評価に関係した普遍性を有していると考えられる。結果をまとめると以下のようになる。 (1)凝固組織が残された試料では再結晶試料に比較して伸びの値がばらつく。したがって延性を評価する場合は再結晶試料によって行う必要がある。 (2)再結晶化熱処理の前に行う加工は、たとえ僅かな加工度でも冷間で行ってはならない。なぜなら、光顕あるいはSEMでの表面観察程度では認識できない微細な亀裂が試料内部に導入されるからである。本質的な延性の評価は内部亀裂があっては行えない。また、そのためには、既に指摘されているように水分による脆化(環境効果)を排除して延性を評価することも忘れてはならない。 (3)このような内部亀裂がない再結晶試料を作成する方法として、高温(〜1373K)で、遅いひずみ速度で行う恒温鍛造が効果的である。 (4)恒温鍛造によって作成したNi-23Al-0.4Zr再結晶合金は30%以上の伸び延性を示すが、同様に作成したNi-23Al-2Zr再結晶合金はほとんど伸びを示さない。このような実験事実から、少なくとも、Ni_3Alの粒界が極端に脆い原因として以前指摘されたように数10p.p.m.オーダーで存在するSの粒界偏析が関係していることが改めて指摘できる。また、ZrはNi_3Alの規則化エネルギーを高める効果を有するので、添加量を増して行くと逆にNi_3Alの延性を低下させると考えられるが、本実験結果はこのような規則化エネルギーと延性との関連性から説明される。
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