研究概要 |
宇宙航空機や宇宙開発用高温構造材料として注目されているTi-Al-X三元系金属間化合物の機械的性質を左右する高温での相安定性に関する情報を得た.本合金系の高温での耐酸化性は良好ではあるが,表面層の酸化が皆無ではなく,高温X線回折法などにても相構造の決定は非常に困難である.ゆえに,高温からの急冷微細組織に着目して,包晶反応温度近辺で安定であるα相およびβ相の存在領域について検討した.その結果,X=Cr,Moの場合にはβ相の存在領域が高Al濃度側にまで拡大,X=Zr,Oの場合にはその逆の傾向になることが明らかになった.この傾向は上記の第三元素がTiのβ-transusに及ぼす影響,つまり前者および後者がβ-transusを各々下降および上昇させることと強く関連しているように考えられ,高温における三元系の平衡状態の明確化に貢献できる結果および機械的性質を左右する高温組織制御に関する基礎的知見が得られた. 相分離過程に関しても特異な結果が得られた.Ti-48at.%Al合金のβ相中に析出したα_2相の微細構造観察において,規則化完了後に格子不変歪としての積層欠陥が導入されていることを確認した.つまり,剪断機構による結晶構造変化において注目される格子対応が非常に短範囲な拡散を通じて生じることに起因して,格子不変剪断変形が生じたものと結論できた.また,Ti-30at.%Al合金については定性的ではあるがβ相からのα_2相の析出に関するCCT図を初めて作成した.冷却速度の増大につれて,(1)β相からα_2相への拡散変態,(2)β相からα相へのmassive変態および(3)β相からα相への無拡散変態とその後のα相のα_2相への規則化(auto-tempering)などが確認できた.以上の変態過程の解明は,微細組織制御に大きく貢献でき,各種物性制御をはじめ,本合金系の高機能化に寄与できるものと確信できる.
|