研究概要 |
CuO,Nio,CoO,FeO,FeO、MnOおよびTiO_2に対し、3dイオンとそれを正八面体的にとり囲む陰イオンよりなるクラスター内のイオン間電子移動、イオン内電子間多重極相互作用を正しく取り入れたハミルトニアンに基づき、ランチョス法・リカージョン法を用いる事により、遷移元素原子2p内殻励起共鳴光電子スペクトルを計算した。計算では、始状態として3d^n,3d^<n+1>L,3d^<n+2>L^2を考慮(ただし、Cu,Ni,Co,Fe,Mnに対しそれぞれn=9、8、7、6、5とする)し、これに対応する共鳴過程の中間状態、終状態を考える。計算で得られた2p_<3/2>共鳴条件下、非共鳴条件下での3d光電子放出スペクトルの結果は、最近のPark達の実験をよく再現する。そこでは、3d^n状態と酸素2p軌道から3d軌道へ電子を1個移した3d^<n+1>L状態のエネルギー差△=E[3d^<n+1>L]-E[3d^n]と有効3d電子間相互作用U(それぞれの3d配置に多重項が存在するときは、それぞれの配置の平均エネルギーの差で定義する)が系の絶縁体のタイプを特色づけるパラメータである。今回の計算と実験との比較から、CuO,NiOではU>△であるのに対し、CoOでU〜△、FeO、MnOでU<△となる事を示した。 計算は、3d以外に3p,3s光電子放出についても行った。ωを選ぶ事により、特定の中間状態(2p→3dXASの終状態)を経由して終状態に到達する光学過程を選択できる。TiO_2に対する種々のωでの計算結果は、最近のShin達の実験とよく対応している。
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