研究概要 |
無限レイヤーSr_<1-x>Ca_xCuO_y(x=0.2〜0.5)およびBaCuO_yの薄膜形成、Sr_<1-x>Ca_xCuO_y(x=0.3,0.4)薄膜表面への超伝導チャンネル形成、Sr_<1-x>Ca_xCuO_yとSrBi_2O_8との積層超伝導薄膜形成の実験を行ない、次のような結果を得た。 (i)無限レイヤー薄膜形成:スパッタ法により、SrTiO_3単結晶板(001)面上に、無限レイヤーSr_<1-x>Ca_xCuO_y(x=0.2〜0.5)およびBaCuO_yの薄膜を作製した。その際、Sr_<1-x>Ca_xCuO_y(x=0.2〜0.5)セラミックのターゲットを用い、基板温度570℃、ArとO_2の混合ガス中2^〜30Pa、マイクロ波パワー75〜140W、堆積速度約1/secで薄膜を堆積させた。堆積した薄膜は、x線回析によりc軸の長さは高野ら(M.Takano,et als,Physica C,159(1989)375)のデータと川合ら(X.Li,et als,Jpn.J.Appl.Phys.31(1992)L217)のデータの中間の値を示した。電気抵抗は数10ohm/cm程度であった。 (〓)超伝導チャンネル形成:Sr_<1-x>Ca_xCuO_y(x=0.3,0.4)薄膜上に、BaBiO_3またはBaCuO_yの薄膜を堆積させ、界面の電気伝導の変化を測定することにより、これら酸化物との接触により界面に低抵抗のチャンネルができることが判明したが、超伝導を示すには至らなっかた。 (〓)積層超伝導薄膜形成:Sr_<1-x>Ca_xCuO_yとSrBi_2O_8の積層薄膜においてSr_<1-x>Ca_xCuO_yの厚さを変えて電気的特性を測定した。その結果、金属的領域のあいだに半導体的な部分が残っているが、オンセットTc50K,ゼロ抵抗Tc30Kの超伝導を示す試料を作製できた。 上記の(〓)と(〓)の実験を続けることにより、CuOレイヤーの片側からのみのドープで超伝導化可能か、あるいは、両側からのドープが必要であるか、という銅酸化物の超伝導化に関する基本的なことを明確にできれば、その知見をデバイス化に利用できるし、また、超伝導メカニズム解明にも役立つと期待できる。
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