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STM分光による酸化物高温超伝導体の研究

研究課題

研究課題/領域番号 05224202
研究種目

重点領域研究

配分区分補助金
研究機関北海道大学

研究代表者

野村 一成  北海道大学, 理学部, 助教授 (80128579)

研究分担者 三本木 孝  北海道大学, 理学部, 教授 (60000791)
研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1993年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
キーワード酸化物高温超伝導体 / トンネル顕微鏡 / 電子状態密度
研究概要

前年度に引き続き、酸化物超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_8における超伝導電子対波動関数の対称性をSTM分光測定により調べた。また、交流磁化率の測定により磁場侵入長の温度変化からも超伝導状態を詳しく調べた。これらの測定はCuのサイトをNiで置換した試料についても行い、超伝導発現の機構の解明を目指した。
測定装置に関しては、より精度の良いSTM分光のデータを得るために、STM装置の除振系を改良するとともに、信号測定系のプリアンプを工夫した。交流磁化率測定についても、磁気シールドをより完全にすること等を試み、測定ノイズの低減を図った。
Bi_2Sr_2CaCu_2O_8(T_c=87K)単結晶において得られたトンネル微分コンダクタンスは、ゼロバイアス付近でほぼゼロにまで減少し平坦な領域を示した。また、このコンダクタンス曲線において、ノーマル状態と超伝導状態における電子状態密度の保存則が確かめられた。この微分コンダクタンスより、超伝導ギャップは大きな異方性を持つがフェルミ面全体にわたり有限であることが明らかになった。したがって、超伝導電子対波動関数の対称性は純粋なd-波的異方性では説明できず、s-波の寄与が相当大きいことが結論される。さらに、交流磁化率から求めた磁場侵入長の温度依存は熱活性化型を示し、STM分光の結果を強く支持した。
Bi_2Sr_2CaCu_<2-x>Ni_xO_y(T_c=75K)のSTM分光測定において得られたトンネルスペクトルは、ゼロバイアス付近で有限の微分コンダクタンスを残し、明確な超伝導ギャップ構造を示さなかった。この結果は、Niのもたらすrandomnessの効果によるものとも理解されるが、一方で試料の不均一性の問題も否定できないため、さらに精密な測定を継続している。また、磁場侵入長の温度変化は低温の広い温度域でT^2に比例することが見出された。このことは、超伝導ギャップがgaplessになっていることを示唆するが、厳密な結論にはSTM測定を含めた今後のさらなるデータの蓄積が必要と考えられる。

報告書

(1件)
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] K.Ichimura: "STM Study of Anisotropic Superconducting Gap of Bi_2Sr_2CaCu_2O_8" J.Phys.Soc.Japan. 62. 3661-3679 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] K.Nomura: "Anisotropic Superconducting Gap of Bi_2Sr_2CaCuO_8" J.de Phys.IV. 3-C2. 281-284 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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