研究課題/領域番号 |
05224231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松川 宏 大阪大学, 教養部, 助教授 (20192750)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 高温超伝導 / 磁性 / t-Jモデル / 有効ハミルトニアン / スレーブボソン / 3-サイトホッピング項 / RVB / 遍歴磁性 |
研究概要 |
(1)ネール、ボンド及び1重項RVBの秩序変数を取り入れたスレーブボソン平均場理論により2次元t-Jモデルを調べた。そして、ネールオーダーが消える臨界のドーピング量近傍ではリエントラント的振る舞いが現れること、有限のドーピング領域では副格子磁化は温度の関数として1度極大を示し低温で下がりだすこと、さらに低温では1重項RVBオーダーがネールオーダーと共存すること等を明らかにした。このスレーブボソン平均場理論では1重項RVBオーダーとホロンのボーズ凝縮の共存相が超伝導相である。そして後者はホロンの分散関係に3次元性を取り入れれば有限温度で起こる。このことからこの理論では3次元性を取り入れれば超伝導とネールオーダーの共存が起こると考えられる。 (2)クーロン斥力が十分大きいとして単一バンドハバードモデルから有効ハミルトニアンを導くと3サイトのスピン反転を含むホッピング項が現われる。この項はt-Jモデルでは無視されているが、これによりモデルの物理的性質が大きく変わる可能性がある。一方、ホール系高温超伝導体では微視的なモデルはd-pモデルであり、Zhang-Rice singletの形成を通じてt-Jモデルが得られると考えられているが、このときも同様の項が現われる可能性がある。我々はd-pモデルに基づいて摂動計算によりその項を導出した。そして、この3サイト項は単一バンドハバードモデルから求めたものと同じ形にまとまり係数の大きさも後者と同程度であるが、符号が逆であり強磁性的であることがわかった。最近接電荷間の相互作用項等もクラスター計算により評価したが、それらの係数は十分小さい。これらのことから't-J+強磁性的3サイトホッピング項'モデルがホール系高温超伝導体の有効ハミルトニアンとして適当であると考えられる。 これらの成果はそれぞれ現在、投稿準備中である。
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