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高温超伝導体におけるギャップ構造及び励起構造の探究

研究課題

研究課題/領域番号 05224233
研究種目

重点領域研究

配分区分補助金
研究機関広島大学

研究代表者

浴野 稔一  広島大学, 総合科学部, 助手 (40185103)

研究分担者 高畠 敏郎  広島大学, 総合科学部, 助教授 (40171540)
藤井 博信  広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
キーワード酸化物高温超伝導体 / トンネル分光 / エネルギーギャップの対称性 / フォノン構造
研究概要

Break JunctionによるYBCO多結晶(T_c=87K)の微分コンダクタンスdI/dVの測定によりフェルミ面で完全に開いたギャップ構造を観測した。このギャップ構造は単純なBCSトンネル状態密度に比べるとブロードであり電子対の波動関数は異方的s波であることを示唆している。超伝導エネルギーギャップの最大値はΔ_<max>=35meVであった。またこの値を持つdI/dVでは,ギャップ内平坦部のエネルギー幅(ギャップの最小値)はΔ_<min>=15meVであった。このようなs波的対状態を示す平坦なギャップ内構造はYBCOにおいては再現性良く観測される。このs波的ギャップ構造が帯電効果によるクーロン閉塞などの外因的な効果によるもので無いことを確かめるためにYBa_2Cu_<2.97>Zn_<0.03>O_<7-y>(T_c=77-7OK)による測定も行ったが,YBCOで見られたようなs波的なギャップ構造は全く得られていない。超伝導ギャップであることをより直接的に示すにはその温度変化を追うことが必要であるが,これは成功しておらず現在装置の改良中である。d波の対称性を持つことが実験的に強く示唆されているBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>については単結晶による測定を行い,Δ_<max>=35meVを得た。また,完全に開いたギャップ構造の存在を確認したが,ギャップの最小値はΔ_<min>=8meVでありYBCO(Δ_<min>=15meV)の約1/2である。従ってBSCCO単結晶のギャップ構造はYBCO多結晶に比べてブロードであることが判る。これは異方性の違いに起因すると考えられる。得られたギャップの値から,その平均値Δ_o及び分布Δ'を求めると,YBCOでΔ_o=25meV,Δ'=10meV,BSCCOではΔ_o=21.5meV,Δ'=13.5meVとなった。このΔ_oはこれらの物質で報告されている平均的な値にほぼ等しく2Δ_o/k_BT_c=6-7程度である。更にYBCOトンネル接合において再現性の高いフォノン構造を見いだした。これは中性子非弾性散乱によるフォノン状態密度スペクトルによく一致する。これはこの物質における強い電子-フォノン相互作用の現れである。このフォノン構造の強さから電子フォノン結合定数λを見積ると約1.5となり,YBCOのT_c=87K(λ〜2.2)を説明するには充分でないことが判った。これは未知の超伝導機構の関与を示唆する。

報告書

(1件)
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] T.Ekino: "Tunneling Measurements of Superconducting Energy Gap and Electron-Phonon Interaction in Ba_<1-x>K_xBiO_3" Advances in Superconductivity,(Springer,Tokyo). 6(印刷中). (4ページ) (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] T.Ekino: "Temperature Dependence of Energy Gap of Oxide Superconductors" Advances in Superconductivity,(Springer,Tokyo). 6(印刷中). (4ページ) (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] T.Ekino: "Phonon Structures in Tunneling Conductance of Superconducting YBa_2Cu_3O_7" Journal of Superconductivity. 7. 367-369 (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] T.Ekino: "Superconducting Energy Gaps in Bi_2Sr_2CuO_<6+y> and Bi_2Sr_<2-x>Nd_xCuO_<6+y>" Physica C. 218. 387-395 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] T.Ekino: "Electron Tunneling Study of Phonon Structures in Superconducting La_<1.85>Sr_<0.15>CuO_4" Physica C. 205. 338-346 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] S.Noma: "Superconductivity in Nb_<1-x>Ta_xSe_3(0.14<x<0.16)" Physical Review B. 48. 9620-9627 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] T.Ekino: "Tunneling Spectroscopy of Copper Oxide Superconductors,in Frontiers in Solid State Sciences,Vol.1 Superconductivity" World Scientific,Singapore, 49 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] J.Akimitsu: "Superconducting Tunneling Structures in Oxide Materials.HIGH TEMPERATURE SUPERCONDUCTIVITY,ed.Z.Z.Gan,S.S.Xie,Z.X.Zhao" World Scientific,Singapore, 8 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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