研究概要 |
本年度は、高度に配位不飽和なルテニウム3核ペンタヒドリド錯体[(C_5Me_5)Ru]_3(μ_3-H)_2(μ-H)_3(1)の3核構造を補強するとともに3核錯体反応場の電子状態を精密制御するため、三重架橋配位子の導入について検討し以下に列挙する成果を得た。 1.[(C_5Me_5)Ru]_3(μ_3-H)_2(μ-H)_3(1)への三重架橋配位子の導入 錯体1とO_2,S_8,BH_3の反応により、O,S,BHが三重架橋した錯体の合成に成その構造をX線回折法で明らかにした。 2.Ru_3(PR_3)型錯体の合成 錯体1と三級ホスフィン・ホスファイトの反応により、[(C_5Me_5)Ru]_3(PR_3)(μ-H)_5(2)を合成しX線構造解析で、リン配位子が1つのルテニウム中心に末端配位していることを明らかにした。 3.カチオン性ホスフィド錯体{[(C_5Me_5)Ru]_3(μ-PR_2)(μ-H)_5}(BF_4)(3)の合成 錯体2とHBF_4の反応により、カチオン性の3核ホスフィド錯体3を合成・単離した。さらに3をLiBEt_3Hで還元し、中性のホスフィド錯体[(C_5Me_5)Ru]_3(μ-PR_2)(μ-H)_5(4)を合成しX線構造解析で分子構造を明らかにした。
|