研究課題/領域番号 |
05226216
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 正廣 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (60167707)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 低次元鎖金属錯体 / ハルデンギャップ / 反強磁性的相互作用 / スピンクロスオーバー |
研究概要 |
Haldaneは一次元ハイゼンベルグ反強磁性体において、「磁気励起スペクトルはスピン量子数が半整数の場合エネルギーギャップは存在しないが、整数の場合にはエネルギーギャップ(ハルデンギャップ)が存在する」ことを指摘している。このハルデンギャップの問題は磁性体の量子効果がマクロに現れる重要な例であり、理論、計算機実験、擬一次元系におけるさまざまな物性測定など多方面から研究が行われている。しかし、これまで報告されているハルデンギャップをもつ化合物の多くはNi^<2+>錯体でNO_2^-架橋であった。我々は、ハルデンギャップに対する金属イオン、架橋基、面内配位子の効果を調べるためにいろいろな化合物を合成し研究を行った。 最も詳しく研究を行った[Ni(dmpn)_2N_3](ClO_4)はNi(ClO_4)_2.6H_2OとdmpnとNaN_3を水溶液中で1:2:1のモル比で混ぜることにより得られた。構造は平面型のNi(dmpn)_2がN_3^-で架橋された一次元構造を取っている。磁化率は90K付近にブロードなピークをもち、低温で急激に小さくなりゼロに近付く。これは低温でのギャップの存在を示しており、従来のハルデン物質によく似た傾向を示している。高温部分での理論式との比較からJ〜-70.6K、g=2.21、が得られた。磁化測定の結果、14T付近から磁化が立ち上がり、ほぼ直線的に増加する。ハルデンギャップエネルギー〜21Kとなった。これまでの結果と比較すると、ハルデンギャップとJの絶対値の大きさは、架橋基に関してはNO_2^-<N_3^-である。一方、面内配位子の効果は立体障害の小さいものほどそれらの値が大きいことがわかった。これらの結果から、面内配位子と架橋基を組み合わせることによりハルデンギャップの大きさを制御できることがわかった。
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