研究概要 |
局在化軌道は,化学反応などのように低い対称性の系を扱う際には,計算の効率化という面において非常に有効であると期待される.本研究では,部分系における自然軌道と,最大重なりが生じるように全体系の分子軌道をユニタリー変換することにより,部分系に局在し電子相関を効果的に記述する軌道を得ることを考えた. これらの軌道を用いて,ブタジエン及びヘキサトリエンに対してテスト計算を行った.計算は,基底状態に対しておこなった.まず,空軌道の空間を制限しない計算と励起の型を、部分系内励起と部分系間励起の2つに分け,それらの相関エネルギーに対する効果を調べた.その結果,部分系内励起が全相関エネルギーの92%以上の寄与を占め,次元数も6分の1程度に減らすことができた.当初期待したように,これらの軌道を使うことにより計算の精度を著しく落とすことなく,計算量を軽減化することができた.
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