研究課題/領域番号 |
05227206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
笈川 節子 千葉大学, 薬学部, 助教授 (60101359)
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研究分担者 |
畑 晶之 千葉大学, 薬学部, 助手 (50241972)
津田 穰 千葉大学, 薬学部, 教授 (90009506)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1993年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 化学反応理論 / 分子軌道法 / 結晶成長 / エピタキシャル成長 / ダイヤモンド / (001)面 / 表面拡散 / トンネル顕微鏡 |
研究概要 |
気相エピタキシャシル成長過程を詳細に解明し、成長の方向を決めている要因が何かを明らかにするために、今年度は(1)ダイヤモンド(001)面上で、炭素原子が吸着しマイグレートする機構、(2)マイグレートした原子が(001)面SBステップ端に到達後、どのように成長反応に関与していくか、を併せて研究した。計算方法は、基本反応の計算にはab initio MO法を用い電子相関の寄与が大きいのでMP2レベルで構造最適化を行った。実在する(001)面を表現するような大型モデルを用いる場合はMNDO法で計算した。計算に当っては結晶表面の性格を表わすためadatomおよび最上層ダイマー以外の下層原子は全て結晶格子の位置に固定した。結果を以下に示す。(1)炭素原子がダイヤモンド(001)面上に安定に吸着する部位と、表面拡散するために必要なエネルギーとを、炭素原子がダイマー列に沿う方向に移動する場合と、ダイマー列を横切る方向に移動する場合とで求めた。炭素原子は最上層ダイマーと三員環を形成して最安定構造を取り、ここからダイマー列に沿った方向に炭素原子のマイグレーションが起こることがわかった。表面拡散の活性化エネルギーは29.7kcal/molと求められた。ダイマー列を横切る方向のマイグレーションは約2倍のエネルギーを要するので起り難い。(2)SBステップ端にやって来たAdatomは、ステップ端がジエン構造であるためテラス面とは異なり2箇所の安定吸着位置を利用できる。ここに集った2個のAdatomはダイマーを自然に形成し、低い活性化エネルギーで成長方向にマイグレートし、SBステップタイプII構造を形成できることがわかった。この結果は、SBステップ端では、炭素原子は必ずダイマー単位で、しかもダイマー列を伸長させるように成長が起こることを示しており、STM実験の結果と一致する。即ち、ダイヤモンド(001)面のSTM像はシリコン(001)面と同様にSBステップ端は凹凸が激しくSAステップ端は滑らかである。また、成長表面において観察される再構成ダイマー構造は(2×1)構造のみであり、c(2×2)市松模様構造は現われない。
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