研究課題/領域番号 |
05228202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薮崎 努 京都大学, 理学部, 教授 (60026127)
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研究分担者 |
高橋 義朗 京都大学, 理学部, 助手 (40226907)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 核偏極 / 動的偏極 / ランタン / プロトン / 時間反転 |
研究概要 |
平成5年度に行なった研究実績は、以下の通りである。 (1)Nd^<3+>:LaAlO_3結晶をヘリウム温度(約1.5k)に冷却し、高磁場の下で熱的に作られる電子スピンの偏極をマイクロ波(ミリ波)による動的偏極を行い、La核の高スピン偏極を行なう研究を行なった。 その結果、磁場約2.3Tのもとで約70GHzのミリ波を照射した実験においてLa核を約20%という、これまで報告された値を大きくしのぐ偏極を得ることに成功した。この偏極度は、中性子を用いた時間反転対称性の検証実験に利用できる充分の値である。用いたミリ波発振器の出力は約200mWであったが、この領域ではまだ偏極度はミリ波出力に比例して増加することから、更に強い発振器を利用し、また結晶を更に冷却することにより非常に大きな偏極度を得ることも不可能でないことが明らかになった。 (2)このように大きなスピンの移行を可能にする機構の解明のために、偏極実験には付随する種々の時定数の測定を行なった。その結果及び簡単化したモデルを用いた理論解析から、電子スピン-スピン熱浴が角運動量の移行に重要な役割を演じていることが明らかになった。 (3)中性子と偏極したLa核との相互作用を用いた時間反転対称性の検証実験では、中性子、及びLaの偏極方向は垂直にしなければならない。しかし磁場の下では中性子の磁気モーメントはその回りを歳差運動してしまうのが問題であった。これを解決するための薄い結晶を多数配列する新しい方法の提案を行なった。この方法では、強い磁場及びマイクロ波照射のもとで上記対称性の検証実験を可能にするものである。
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