研究課題/領域番号 |
05230004
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩司 東北大学, 理学部, 助手 (30208483)
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研究分担者 |
黒木 玄 東北大学, 理学部, 助手 (10234593)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 共形場理論 / 可解格子模型 / 表現論 / ヤン・バクスター方程式 |
研究概要 |
本課題においては、量子可積分系の重要な例であり、近年活発に研究されている共形場理論と可解格子模型について、そこに現れる特殊函数の由来に注目して研究することを目的とした。結果は以下の様であった。 長谷川は、可解格子模型で重要なヤン・バクスター方程式の、楕円テータ函数解(ベラヴィン解)に付随する代数的構造の研究を行った。この解は三角函数極限においてA型量子展開環U_q(gl_n)から定まる解に退化する。楕円函数解の場合においても、解を与えるホップ代数があるだろうか。これについて、双代数の生成元たちにある条件をつけると対合射が定義できることがわかった。しかし同時に、これでは自然な表現がこの条件を満たさないことも判明した。中心拡大を定義することも含め、良い定義を与えることは今後に残された問題である。一方ベラヴィン解に付随して絡ベクトル(intertwining vector)と呼ばれる量がある。これはテンソル積に関して良いふるまいをする興味深いものである。この内在的意味を探ることも重要と考え研究を行った。特に、これを用いてベラヴィン解に付随する双代数の新しい表現の族を与えることができ、それはA型アフィン・ワイル群不変式の空間からなる部分表現をもつことがわかった。これはスクリャーニンによるn=2のときの結果の拡張を与えるものである。 黒木は、共形場理論の定式化の観点から、数論的状況との類似の追究を試みた。 リーマン面上の共形場理論はアデール的に定式化することが自然であり、これは土屋らによって行われた。一方、本来アデール的定式化を必要としたのは保型函数論においてであった。これらの間には、リーマン面R上の函数体とSpecZとを対応物としての類似が見てとれる。これを明白な形にすることを念頭に置いて共形場理論の再構成をしたところ、次が得られた:R上のconformal blockの空間と、quasi parabolic bundlesのモジュライ上の直線束の大域切断の空間とが同型である。そしてこの方向には、ヘッケ作用素の類似を考えることなどが今後の課題として残されている。
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