研究概要 |
26個ある散在有限単純群のうち最大位数を持つモンスター単純群は数学の他の分野と不思議な関係を示しており,数学の研究の対象として他の有限単純群とは別格に扱われている.しかもフレンケル,レポウスキー,ミュアマンによって,特殊なバーテックス作用素代数の自己同型群であることもわかり,理論物理の弦理論などの共形場理論とも結び付くことも分かってきた.しかし,このバーテックス作用素代数の自然な構成は現在でも分かっておらず,モンスター単純群の作用も1つの小さい部分群を除いては,理解できていない.本研究ではモンスター単純群を構成する時に通常使われるリーチラティスを使わずに,さらに2次元拡張したローレンティアンラティスを利用し,リーチラティスの替わりにその中の基本ルート系のような性質を示すリーチルートを利用した.この方法は研究代表者である宮本がアメリカ合衆国オハイオ州立大学の原田耕一郎教授と共同研究を進めているdeep hole isotropic元,Leech glue rootsの研究の成果を必要とし,最近開発した方法である.この方法を使って,26次元偶ローレンティアンラティスの中にE^4_6型のコクスターディンキン図形を構成するリーチルートから自然に3元体上のアフィン平面の点と線が満足する隣接関係と同じ隣接関係を満足するような21個のリーチルートがあることが分かり,このリーチルートからそれぞれ,モンスター単純群の21個の位数2の元が構成され,しかも不思議なことに同じ隣接関係を満足することが本研究により明らかになった.この様な作用の構成法は以前の構成法とは異なり,一つの部分群に依存しておらず,モンスター単純群のバーテックス作用素代数への作用が自然であること,位数2の元によってその作用が説明付けられるであろう事等を暗示しており,更なる研究が必要と思われる.
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