研究概要 |
本研究計画は,北関東地域における100万年前から現在までのマグマ噴出史を3年間で明らかにすることを目標とする.今年度はその第1年度だった.各火山の噴火史のまとめは,横軸に時間,縦軸にマグマ噴出量をとった階段ダイアグラムとして表現される.この階段ダイアグラムをかくときに採用する時間は,現在からさかのぼった時間を測る放射年代学よりも,過去の時間間隔を測る層序学によるのが望ましいことがわかった.マグマ噴出量を表現するときには,地震学にならってマグニチュードスケールを導入することが効果的であることもわかった.また,一回の噴火を厳密に定義することが,思いがけなく,難問であることが判明した.今年度はひとまず仮の定義をして噴火を数え,ひとつ一つの噴火の年代(時間)と規模(マグマ噴出量)を計測してカタログを作成中である. 現地調査は,北関東8火山すべてでおこなった.そのうち,日光火山群と那須火山は,噴火史に関する一定量の知見が集積したので論文にして公表した. テフラ層序に関して今年度の調査で得られた重要な知見は以下のとおり: 1.男体七本桜/今市(13ka)は浅間YPk/YP(14ka)の上15cmにある. 2.浅間BPは4枚のテフラ(BP3/2/1/0)からなり,塚原岩なだれ堆積物はBP2(22ka)の直下にある. 3.大山倉吉(50ka)の上10cmに赤城行川2(48ka)があり,下5cmに箱根東京(52ka)がある. 4.鳥浜(250ka)の上4cmに皆神?三原軽石(249ka)がある. 5.三原軽石の下130cmにある四阿蓑原(280ka)の下25cmに九州菅平火山灰(285ka)がある.
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