研究概要 |
桜島をはさんで,北方40kmから南方80kmの範囲で発生している地震(1985〜1992年)の震源を精密決定した. 約15点の観測点のP波とS波の着震時を独立に扱い水平5層構造を仮定して遂次近似により震源を決定した. 震源決定誤差が水平および深さ方向に5km以下で求められた地震の震源分布は,大隅半島下100kmから薩摩半島および半島の南方の深さ180km付近まで連なる地震群(A群)と薩摩半島南部のやや浅い場所(深さ80〜130km)に分布する地震群(B群),そしてその両者に挾まれた深さ100〜120kmの地震群(C群)に分けられる. それぞれの地震群の発震機構を,気象庁を含む他の観測点の押し引き分布も加えて検討した.その結果,A群とB群のメカニズムはT軸が鉛直成分を持つdawn dip extension(DE型)が卓越し,従来他の地域(例えば東北地方)で得られている結果と矛盾しないが,C群については震央付近の観測点で初動が引きでありDE型とはならないことが分かった.この種の地震は火山帯直下の深度100〜120km付近で発生しており,マグマの生成に直接関係している可能性があり更に詳細な観測と研究が必要である.
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