研究課題/領域番号 |
05233220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70026243)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1993年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | フラーレン / カルベン / 付加環化反応 / ジエノフィル / エン反応 / アセチレン / 分子軌道法 / CV |
研究概要 |
(1)C_<60>とカルベン類との反応:C_<60>とフェニルーおよびアニシル-ハロカルベン(ArCX;X=Cl,Br)との反応により、対応する1:1付加体1を合成単離し、いずれもシクロプロパン構造をもつことをNMR測定ならびに分子軌道法計算により明らかにした。1は反応性に富むベンジル位にC-X結合をもつが、一般に知られている化合物に比べてC-Xのイオン的結合解離の反応性は極めて低く、またイオン化条件においては容易にC_<60>ユニットを放出することを見いだした。 (2)C_<60>の付加環化反応:C_<60>のdienophileとしての性質を明らかにするためアントラセンおよびα-ピロンとの反応を行ない、それぞれ対応する1:1付加体2および3を単離した。各種スペクトル測定と理論計算を行ない、さらに上記の付加体1と共に、酸化還元特性をCV測定により検討した結果、特に2においては分子内π電子相互作用の存在が示された。 (3)C_<60>のエン反応:これまでに全く研究例のなかったC_<60>に対するエン反応についてアリルベンゼンおよびアリルフェノール誘導体を用いて検討し、1:1付加体の単離に成功した。本反応はC_<60>に対するオレフィン付加反応として、種々の誘導体合成に応用できる点で有用な新反応とみなすことが出来る。 (4)C_<60>と求核剤との反応:C_<60>とエチニルリチウム誘導体を高温(110℃)で反応させることにより初めて、これまでに合成例のないC_<60>アセチレン誘導体の合成に成功した。今後エチニル末端の化学修飾を行なうことにより複数個のC_<60>核をアセチレンで結合させた誘導体などの新規物質への変換に道を拓くものとして応用が期待できる。 なお、(3)、(4)の生成物についても酸化還元特性をCV法で検討し、すべてのC_<60>誘導体に関して実験値と理論計算から得られたフロンティア分子軌道準位との相関について明らかにすることが出来た。
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