研究課題/領域番号 |
05235104
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大倉 一郎 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (90089821)
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研究分担者 |
長野 哲雄 東京大学, 薬学部, 助教授 (20111552)
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 太陽エネルギー / ポルフィリン / ビオローゲン / 電子移動 / 水素 / レーザーフラッシュ法 |
研究概要 |
太陽エネルギーの光化学的利用を目的とした均一系による光水素発生反応では電子供与体-光増感剤-電子伝達体-触媒よりなる4成分系がよく研究されている。この反応では光励起された光増感剤と電子伝達体との間の電荷分離過程が反応速度を支配する重要なステップである。そこで本研究では光増感剤と電子伝達体とを結合し、光励起分子内電子移動が容易に進行する錯体を合成した。この錯体は1分子で光増感剤と電子伝達体との両方の機能を持つことが期待される。 メチレン鎖長の異なるビオローゲン結合型ポルフィリンを合成し、これを用いた光誘起電子移動反応を行った。m-PC_nVの蛍光強度はいずれの場合にも1より小さくなった。このことは光励起一重項状態がm-PC_nVのビオローゲンにより消光されていることを示している。m-PC_nVとp-PC_nVの蛍光強度を比較すると前者の方がより効率的に消光された。ビオローゲン結合型ポルフィリンについて蛍光の減衰は2成分の1次減衰の和になっている。長寿命成分はメチレン鎖長によらずビオローゲンの結合していないポルフィリンの寿命とほぼ等しかった。このことは長寿命成分の蛍光減衰が自発的に減衰するためで、ビオローゲンとポルフィリン環との間の距離に依存しないことがわかった。これと比較して短寿命成分はメチレン鎖長に依存し、鎖長が長くなるほど増加する傾向を示した。このことにより短寿命成分の蛍光の減衰はポルフィリンの光励起一重項状態が、結合しているビオローゲンにより直接消光されるためであることがわかった。 寿命の測定から分子内電子移動速度定数を計算した。この値はメチレン鎖長に大きく依存し、メチレン鎖長が増加すると寿命が短くなることがわかった。このことは分子内電子移動において光励起されたポルフィリンからビオローゲンにメチレン鎖に沿って電子が移動することを示している。
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