研究課題/領域番号 |
05235210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松永 是 東京農工大学, 工学部, 教授 (10134834)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 電極反応 / 補酵素A / サイクリックボルタンメトリー / 殺菌 / フェロセン誘導体 / 大腸菌 |
研究概要 |
申請者らは、電極反応を利用した細胞制御に関する研究を行ってきた。すでに、サイクリックボルタメトリーなどの手法を利用して、大腸菌や酵母の電極反応を媒介する物質が細胞内の補酵素A(CoA)であり、このCoAが反応する0.7Vvs.SCE(飽和甘コウ電極)以上の電位を印加することにより、細胞が死滅することを報告した。本年度の研究では、菌体懸濁液中に細胞の電極反応を媒介するフェロセンを溶解させることにより、従来より低い電位での殺菌について検討した。まず、フェロセンモノカルボン酸(FcCOOH)を用いた細胞の電極反応について検討した。FcCOOHを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させ、BPG(basalplane pyrolytic graphite)電極を用いて0.25mM FcCOOH溶液のサイクリックボルタンメトリー(CV)を行ったところ、0.3V(vs.SCE以後省略)付近に酸化還元の可逆的なピークが見られた。また、CoA溶液のみのCVを行った場合には0.7V付近に酸化の不可逆なピークが得られた。そこで、FcCOOH溶液にCoAを終濃度が5mMとなるように添加しCVを行ったところ、酸化ピークは上昇し、還元ピークは消失した。このことより、FcCOOHはCoAの酸化反応を媒介できることが明らかになった。また、大腸菌の菌体懸濁液中にFcCOOHを添加し、CVを行ったところ、同様に酸化ピークの上昇および還元ピークの消失が確認された。大腸菌懸濁液のみのCVを行った場合には0.3V付近にはピークは見られず、0.7に酸化のピークが見られた。以上のことからFcCOOHは大腸菌の電極反応を媒介していることが確認された。次に、FcCOOHが微生物の電気化学的殺菌に及ぼす影響について検討した。この結果、30分間の電位印加後の生菌率は、0.1Mリン酸緩衝液中では0.4Vの電位印加で88%、0.8V以上で0%となったのに対し、0.5mM FcCOOH溶液中では0.4V以上でほぼ0%となった。このことから、FcCOOHを用いることにより0.4Vと、これまでに比べ低電位で大腸菌の殺菌が可能なことが示された。
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